大判例

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東京高等裁判所 昭和30年(ラ)391号 決定

本件抗告の適否について判断するに、本件は、抗告人から抗告外株式会社辰村組に対する東京地方裁判所昭和二十九年(ヨ)第九二三〇号不動産仮処分事件の執行力ある仮処分決定正本に基き、昭和二十九年十一月三十日東京都新宿区新宿一丁目八十番地家屋番号同町四七番木造スレート葺三階建店舗一棟のうち一階五十一坪七合五勺の部分全部に対してなした仮処分執行に対し、相手方において右建物の部分は当時既に前記株式会社辰村組の占有下にはなく相手方自らこれを占有していたものであるとして、民事訴訟法第五百四十九条による第三者異議の訴を提起し、(東京地方裁判所昭和三十年(ワ)第四、一九〇号仮処分第三者異議事件)且つ、同法第五百四十七条第二項によりその執行の取消を申立てたので、原裁判所は金四十万円の保証を立てさせた上、本件仮処分執行の取消決定をなしたものであることは記録に徴して明白である。

而して同法第五百五十八条によれば、「強制執行の手続に於て口頭弁論を経ずして為すことを得る裁判に対しては、即時抗告を為すことを得」とあつて、前記第五百四十七条第二項の異議の訴における強制執行取消決定に対しては、右第五百五十八条により即時抗告が許されるが如き観があるが、前記第五百四十七条第二項の強制執行取消決定は、異議の訴提起後判決の言渡までの間、異議の訴の原告保護のため、仮に一時的になす応急的の裁判で、異議の訴に附隨、従属する性質のものであつて、それ自体独立したものとは認められない。

然るに前記第五百五十八条の規定により即時抗告の対象となる裁判とは、当然独立した裁判を指すものと解すべきを以て至当とするから、前記第五百四十七条第二項の強制執行取消決定は前段説示の性格に照し、これに該当しないものと認める。

よつて第五百五十八条による即時抗告は許されない。

又(一)民事訴訟法第四百九条の二による特別上告の提起があるとき、(二)再審を求める申立があるとき、(三)仮執行の宣言を附した裁判に対し上訴を提起したとき、(四)仮執行の宣言を附した支払命令に対し異議を申立てたときは、就れも其のなしたる強制処分を取消すことができるところ、右の強制執行取消決定に対しては、同法第五百条第三項により不服の申立を許さず、然るに前記第五百四十七条第二項の強制執行取消決定に対して法文上右第五百条第三項と同様強制執行取消決定に対し不服申立を禁ずる旨の規定がないからといつて、特に不服申立を許すものと解するのは形式に捉われた見解として採用し難く、却つて両者の実質上類似する性格に思いを致すときは、両者はこの点に関して別異の取扱をなすことは不合理であると考えるから、第五百四十七条第二項の強制執行取消決定に対し、特に不服申立を許す規定がない以上、第五百条第三項の規定を類推して同様不服の申立を許さない法意であると解するのが相当である。

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